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なまずとあざみのはなし
なまずとあざみの話
小川 未明
「赤い鳥」1928(昭和3)年5月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,008 字 · 6 页
このとき、銀のお盆を流したように、月が照らしたのです。
「おまえたちも、あんまり方々を遊び歩かないほうがいいよ。日が暮れると、やっと安心するのだ。私たちは、今日も無事に幸福に、送ることができたと思うのだよ。」と、魚の親たちは子供たちを見まわしながらいいました。
「お父さんも、お母さんもお休みなさい。」と、子供たちはいった。
「みんなも、つかれたろうから、よくお休みよ。」と、親たちは、答えた。そして、魚たちは、巣の深みへじっとして、静まったのであります。
このとき、ひとり、なまずのおばさんは、穴の中から出て、だれはばかるものもなく、大きな口を開けて、水の中で、盲目になって、まごついている虫どもをのみはじめたのでした。おばさんの頭にさしている長い二本のかんざしは、月の光が水の中までさしこんだので、気味悪く光ったのです。
「昼間は、いろいろな魚たちが、わいわいいっているので、うるさくてしかたがないが、夜は私の天下だ。」と、なまずのおばさんは、大きな口でぱくぱくやりながら、へびのようにしなやかな尾をひらひらさして歩いていましたが、そのうちに、すさまじい勢いで、うなって、体を四苦八苦にもみ、ゆり動かすと、いくたびも水の中で転動しながら、どこかへ姿をかくしてしまいました。