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なまずとあざみのはなし
なまずとあざみの話
小川 未明
「赤い鳥」1928(昭和3)年5月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,008 字 · 6 页
物蔭から、このようすを見ていた魚がありました。その魚たちは、小さな声でささやいたのでした。
「まあ、どうしたのでしょう?」
「あのしゅうねん深い、おそろしいおばさんが、あんなに苦しんだのを見たことがない。なんでも、思いがけない敵のために、ひどいけがをしたのですよ。」
「それに、ちがいありません……。なんという物騒なことでしょう……。」
魚たちは、ますます小さくなって、息をひそめてじっとしていました。
川のふちに、あざみがつつましやかに咲いていました。終日だれと話をするものもなく咲いていたのです。ただ、自分の姿の水の面にうつるのと、おりおり、音もなく雲が、影を水の上に落として過ぎてゆくのを、ながめたばかりでした。
あざみは、咲いてから、まだ間のないときでした。ある朝一ぴきのなまずが、すぐ目の下に、岸のすみに白い腹を出して苦しんでいるのを見ました。どうしたのだろう? と、あざみは、だまっていました。しかし、日が明るく、水の面を照らしても、なまずは、おなじところに起き直ったと思うと、いつのまにか、また白い腹を出して仰向いて、もだえていたのです。
「どうしたのですか?」