轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

なよたけ

なよたけ

加藤 道夫

「三田文学 四・五月号、六月号、七・八月号、九月号、十・十一月号」1946(昭和21)年5月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,415 字 · 163 页

青空文庫

……この広大無辺の大自然の中に溶け込んでいると、何だかもう、このまま儂はいつ死んでもいいような気がする。今では、あの崇厳な不尽の山を眼のあたりに眺めながら死ぬと云うことがこの儂の理想なのだよ。儂は、この頃つくづくそう云うことを考えるようになった。……全く人間と云う奴は可笑しなものさ。……文麻呂! この頃儂はな、都の奴等のことなどをふと思い出すと、腹を抱えて大声で笑い出したくなるのだ。

文麻呂 (静かに)お父さん、……あれはみんな前の世の夢なのですね。僕には何だかそんな気がします。もう自分には何の縁もなくなった遠い前世の夢が、悔もなく、ただ遥かな想い出のように蘇って来るのです。

間――

綾麻呂 まあ、……お互いに都のことなぞもういっさい考えぬことにしようではないか。……こんな広々とした自然の懐に抱かれているんだ。お前ももっとのびのびした気持にならなければいけない。歌や物語を作るのもいいが、お前のように一日中狭っくるしい部屋の中に閉じこもっていたって、決していいものは出来ないと思うな。第一、あれでは身体に障るよ。儂はそれが一番心配なのだよ。……ああ、そうそう! 文麻呂! お前、覚えているだろう? 儂がこっちへ赴任する日に、お前が儂に記念にくれた小さな歌の本があったね?