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のろのろほうだんのきょうい

のろのろ砲弾の驚異

海野 十三

――金博士シリーズ・1――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,247 字 · 19 页

青空文庫

と、金博士が、地図の上を指でおさえながらいった。

「博士、もっと、例の反重力弾のことについて、話をしていただきましょう」

「ああ、あなた方を愕かしたあのものをいう、のろのろ砲弾のからくりのことかね。印度洋へ入ったら、いう約束だったから、それでは話をしようかね。からくりをぶちまければ、他愛もないことなのさ。砲弾が、ものをいったのは、砲弾の中に、小型の受信機がついていて、わしの声を放送したんだ」

「それは、もう分っています。それよりも、なぜ、あのように低速で飛ぶのですか。落ちそうで、一向落ちないのが、ふしぎだ」

「それは、大したからくりではない。重力を打消す仕掛が、あの砲弾の中にあるのだ。これはわしの発明ではなく、もう十年も前になるが、アメリカの学者が、ピエゾ水晶片を振動させて、油の中に超音波を伝えたのだ。すると重力が打消され、油の中に放りこんだ金属の棒が、いつまでたっても、下に沈んでこないのであった。その話は、知っているだろう」

「ええ、その話なら、知っています」

「そのアメリカ人の着想に基いて、わしが低速砲弾に応用したんだ。つまり、砲弾の中に、それと似た重力打消装置がある。