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はととりんご
はととりんご
小川 未明
「日本の子供」1940(昭和15)年1月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,810 字 · 8 页
「だが、ねこは、鳥をとるのを悪いと思っていないだろう。」
「君、はとのほうが、よっぽどかわいそうだろう。」
「それは、そうだ。」
「みたまえ、箱の中はどんなだったい、血だらけでなかった。」
「ああ、血がそこらについて、毛が散らばっていた。」
「それだのに、君は、はとの敵を討つのに、かわいそうだなんて思ったのか。」
正二は、新吉をなじりました。新吉は、じっと下を向いて歩いていました。そして、つくづくと自分の勇気がなかったのを感じ、ねこをなぐらなかったのを後悔しました。
交叉点のところへかかると、まだ、青赤の信号燈がまにあわぬとみえて、ばたんばたんと、ゴーストップの機械をまわして、見張りの巡査がピリッピリッと、そのたびに笛を鳴らしていました。
ばたんと赤が出ると、一方からくる車がみんな止まって、いままで、じっとしていた車が、流れるように続きました。また、ばたんと機械がまわって、ピリッピリッと鳴ると、ゴウッと走ってきた車が急に止まって、止まっていた車が走り出すのです。台の上に立って、ピリッピリッと笛を鳴らすおまわりさんは、あるときは、やせて背の高い人のこともあれば、ときには、太って腹をつき出した赤ら顔の人のこともありました。