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ひすいをあいされたきさき
ひすいを愛された妃
小川 未明
「婦人倶楽部」1928(昭和3)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,483 字 · 12 页
ある日のこと、この年とった鑑定家は、
「私が、いままでに見たひすいのうちで、西国の女王の首にかけてある飾りの珠ほど、不思議な美しいものはありません。青白い珠のうちに、瞳をこらして見ますと、夢のような天人の姿がうかがわれるのであります。これこそ、広い世界のうちで、いちばん貴い石と思われます。」と語りました。
この話は、やがて、妃のお耳にまで達すると、妃は明けても、暮れても、その珠が空想の目に浮かんで、物思いに沈まれたのであります。王さまは、それと悟られると、天にも、地にも、ただ一人の愛する妃のために、西国の女王が持っていられる、青い珠を手にいれて与えたい、と思われました。しかし、そのことは、一国の富を尽くしても、おそらく、西国の女王の承諾を得ることはむずかしかったのです。
「どうかして、西国を征服することはできないものかな。」と、ふじの花咲く国の王さまは考えられました。そして、その機会を待っているうちに、両国間にちょっとした問題が起こりました。ついに、それをきっかけとして、戦争は、はじまったのでした。
双方とも死力をつくして戦いましたから、容易に勝敗はつきませんでしたが、多くの犠牲をはらって最後に、ふじの花咲く国は勝ったのでした。