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ひすいをあいされたきさき

ひすいを愛された妃

小川 未明

「婦人倶楽部」1928(昭和3)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,483 字 · 12 页

青空文庫

朝、晩、その鐘をつくときに、鐘の響きは、森を越え、街の家々の空に、鳴りわたるだろう。人々は、その妙なる鐘の音を聞くたびに、きっとわが、美しい、やさしかった妃のことを思い出すにちがいない。それが、すなわち、功徳になるのだと、王さまはお考えなされたのであります。

いよいよできあがった鐘をつるすときにあたって、あまり、その鐘が重いもので、どんな綱も切れてしまいました。

「これは、どうしたというのだろう。」

王さまは、お考えになりました。なにかこれには、子細のあることかもしれない。ともすると、妃の魂が、この世に対して、深い未練をもっているからかもしれない。ひとつ占ってもらうことにしようと、思われたのです。

ちょうど、そのころ、どこからともなく城下へまわってきた占い者がありました。鳥のように諸国を歩いて、人々の運命を占う、脊の低い、目の光の鋭い男でした。

王さまの命令によって、その占い者は、召されました。占い者は、山へ登って、鐘のそばにすわって、祈りを捧げたのでした。そして、しばらく、瞑目していましたが、はじめて夢からさめたように、顔を上げると、

「死なれた、お妃の望まれるところでございます。