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ひとわれをこうしきしゅぎしゃとよぶ

ひと吾を公式主義者と呼ぶ

戸坂 潤

「中央公論」1937(昭和12)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,981 字 · 19 页

青空文庫

而もこの憎悪が、みずから最も「愛情」を標榜する連中の習性であることは面白い。つまり日本への愛情は公式、科学、への憎悪に他ならぬ。妙な結果になるものだと思うが、なる程考えて見ると日本の現在の支配者達は、最後の努力を払って、科学の駆逐に汲々としている。文教審議会と云い教学局という、どれも明らかに「科学」に対抗していることを思い出さねばならぬ。特に教学というカテゴリーが西洋渡来の科学に対抗する代用品として、東洋的乃至日本的な封建文化系統から拾われて来たことに、吾々は注意を払うことが必要だろう。

公式主義呼ばわり主義者は併し、単に放言などしているわけではない。チャンとした組織があって云ったりしているわけだ。科学というものを組織的に日本帝国から締め出そうという「日本」の要求に応じる処の、最も文化的な相貌を具えた一翼であることが、以上のことから推定される。公式を恐れることは決して酔狂からではない。それには組織がある。そしてその組織の文化的な体系として、例の文学主義が存在しているわけだ。公式主義呼ばわり主義者には、組織があり体系があるだけではない。実は彼等自身一種の公式さえがあるのだ。