轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ひどいけむり

ひどい煙

久生 十蘭

「オール讀物」1955(昭和30)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,064 字 · 18 页

青空文庫

三

カロン自身も、不幸な災厄を避けたい気があって、六月の中頃まで、あれこれと試射の方法を論議することに日を費し、ひたすら遷延の策を講じていたのである。

三

稲富喜太夫は、真向額を六月の太陽に焼かれて汗みずくになり、井上外記の因業面を眼の隅からながめては、ひとりで腹をたてていた。

この暑気に、虎の皮の大衿のついた緋羅紗の胴服を着こんでいるのが、馬鹿らしくてならない。地肌の透けて見える精のない薄白髪を、真田の太紐で大段の茶筅に結いあげ、元亀天正の生残りといった体で、健骨らしく見せかけているが、柄にもなく色染めの皮足袋などをはいているところからおすと、内実は、意外に軽薄なので、装だけで高家を気取っているのかもしれない。

カロンの臼砲に関する一件は、田付四郎兵衛から大目付井上筑後をもって、お上に申しあげたところ、いたくお腹立ちになり、このたび参府の甲比丹には逢うまいと仰せられたげなに、洩れ聞いている。

お上が寛濶に思い捨てられたのなら、こちらも悪い冗談と、笑ってすませればよろしからん。どのみち、玉は出ぬとわかっているものを、さかしらだてて、領収の、試し射ちのと騒ぎまわる爺の気が知れない。