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びんのなかのせかい
びんの中の世界
小川 未明
「赤い鳥」1927(昭和2)年1月号
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,126 字 · 9 页
「おばあさん、あのびんを僕におくれよ。」とねだった。
おばあさんは、なかなか正坊のいうことを聞かれなかった。
「あのびんは、昔から家にあるびんだから、おもちゃにして壊すといけない。」といわれた。
そう聞くと、正坊は、ますますそのびんが欲しくなりました。
昔、酒かなにかはいって、渡ってきたらしくもあれば、また、おじいさんが、船乗りをしていなさる時分、どこかで手にいれたものらしくも思われました。
ある日、正坊は、こっそりと、おばあさんに気づかれぬように、たなの上からびんを取り下ろして、外へ持って出ました。そして、びんの口に目を当て、太陽の方に向かって仰ぎました。すると、一人の男が、馬にまたがって、遠い地平線から駈けてくるのが見えます。正坊は、あわてて目を放して、向こうを見ると、どこにもそんな影らしいものはなかった。正坊は、このとき、そのびんを魔法のびんだと知ったのでした。そして、このことをおばあさんに話すと、
「ばか、なにをいう。」といって、おばあさんは取り上げられませんでした。
正坊は、亡くなられたおじいさんが、待っていられた使いというのは、このびんの中に見える馬に乗った男のことでないかと考えました。