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もくねじ

もくねじ

海野 十三

「譚海」1943(昭和18)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,546 字 · 16 页

青空文庫

悲劇

その後ぼくは異状がなかった。

ぼくの取付けられた放送機は、それからのち方々へ廻った。

多くの時間が、この装置の試験に費された。装置には、真空管も取付けられ、すっかりりっぱになったところで、はじめて電気が通され、計器の針が動いた。

試験をしていると、装置はだんだん熱してきた。ぼくはあまり暑くて、しまいには汗をかいた。

そのうちに試験も終り、荷作りされた。

ぼくはトラックに揺られ、それから貨車の中に揺られ、放送所のある遠方の土地まで搬ばれていった。

そこから先、またトラックにのせられ、寒い田舎を搬んでいかれた。

そして遂に放送所についた。

ぼくの取付けられている機械は、函から出された。そこには多勢の技師が待っていた。

「ああよかった。これで安心だ。間に合うかどうかと思って、ずいぶん心配したなあ」

その中の一等年齢をとった人が、そういって一同の顔を見廻した。

それからぼくの機械は、多勢の肩に担がれ、二階の機械室まで持っていかれた。

この機械を据えつける基礎はもうちゃんと出来ていた。機械はその上に載せられた。うまくボルトの中に嵌らないらしく、盛んにハンマーの音がかんかん鳴った。