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もくねじ

もくねじ

海野 十三

「譚海」1943(昭和18)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,546 字 · 16 页

青空文庫

元々あの若い職工さんが、誤ってぼくを放送機にとりつけたのであった。だからぼくは当然今のようなみじめな境界に顛落することは、始めから分り切っていたのである。間違った幸福をよろこんでいたぼくは、何というばかだったろうか。

或る日、このごみ捨て場に、舎宅の子供たちが三四人で遊びに来た。汚いところだが、子供たちには、たいへん興味のある遊び場であるらしい。子供たちは、みんな女の子であった。ごみの山の上を、上ったり下りたりして遊んでいるうちに、一人の鼻たらしの七つ位の子供が、ふとぼくを見つけて、小さな掌の上へ拾い上げた。

「いいものがあったわ。これは、きたないけれど、ねじ釘でしょう。お家へ持ってかえって、お母さんにあげるわ。額をかけるのに釘が欲しいってお母さんいっていたのよ」

ぼくは、その子供の小さい手に握られていた。そして身体がぽかぽかと温くなった。

「どれ、見せてごらん」

別の子供がやって来た。ぼくの主人は、小さな掌をひらいた。すると相手が大きな声を出した。

「まあ、きたないねじ釘ね。その青いものは毒なのよ。そんなものを持っていると手が腐るから捨てちゃいなさい」