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わがせいしんのしゅうい
わが精神の周囲
「群像 第四巻第一〇号」1949(昭和24)年10月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,670 字 · 32 页
をそらしていたのかも知れない。
又、二十一の経験によって、神経衰弱の原因は睡眠不足にありと自ら断定して以来、もっぱら熟睡につとめ、午睡をむさぼることを日課としたから、自然に病気を封じることが出来たのかも知れなかった。
睡眠不足は、恐らくあらゆる人々に神経衰弱をもたらすであろう。自ら意志して病気の征服に成功した私が、特に病的だと思いこむことは出来ないのである。
私は今日に至って、職業上の過労から、二十一歳の愚を再びくりかえしてしまったのである。しかし、この愚を犯した責任の全部は私にあって、ほかの誰にもないのである。私は誰からも強制されはしなかった。時には責任感から過労も敢てしたが、必ずしも、そうする必要はなく、私が意志しさえすれば、無理な過労は避け得られる性質のものであった。
この春の退院後は、もはや覚醒剤もアドルムも飲むまいと思っていたが、将棋名人戦の観戦をキッカケに、覚醒剤をのんでしまった。これとても私自身の意志したことであり、すべては私一個の責任であった。
すでに事理は明白であるが、要するに、私は仕事のためには死も亦辞せず、という思いが、心に育っているのであろう。