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エマヌエル・カント『しぜんてつがくげんり』かいせつ

エマヌエル・カント『自然哲学原理』解説

戸坂 潤

「カント著作集 第一一巻」岩波書店、1929(昭和4)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,570 字 · 72 页

青空文庫

即ちこの場合の構成は云わば創り出すことではなくして出来上っているものの可能性をその概念から先天的に理解することに外ならない。それ故カントにあっては物質の構成は、構成という概念をば創り出すという意味に用いる限り、却って物質自身を予想するものと云わねばならぬ。之に反してシェリングは物質をば根本力自らが構成するものとして理解する。反発力(斥力)と引力とが結合することによって重力が結果する、即ち重量が、物質が、構成されるのである。処でカントに於ては空間は何の力も持たなかったのであるが、シェリングによれば空間それ自身がかかる根本力から演繹され得なければならない。今物質が已に根本力から演繹される筈であったから、物質と空間との関係はそれ故、シェリングに於てカントの如く離れ離れに考えられることは出来ない。空間とは物質の次元そのものである。そして物質乃至空間の三次元性の必然性は物質乃至空間を構成する三つの根本力に相当してそれから演繹されるものである。物質は長さ、広さ、深さによって構成されるのでなければならない。かくて根本力は空間となり空間は物質となる。之がシェリングによる物質の構成である。