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エマヌエル・カント『しぜんてつがくげんり』かいせつ

エマヌエル・カント『自然哲学原理』解説

戸坂 潤

「カント著作集 第一一巻」岩波書店、1929(昭和4)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,570 字 · 72 页

青空文庫

このことはヘルバルトがその Allgemeine Metaphysik(Bd. ※(ローマ数字1、1-13-21), 6 Abt.)に於て特に章を定めて記載している。かくてわが著述が後の殆んど凡ゆる自然哲学に著しい作用を与えたことは、出版当時の人々の全く想像出来なかった処であったであろう。併しながらカント以後の自然哲学は果してカントがこの著述に於て与えた自然哲学の特色を正当に発展せしめたものであるか。

シェリング、ヘーゲルの浪漫的自然哲学が、その根柢に動いている優れた哲学的精神と、それによって動かされている極めて有力な頭脳とにも拘らず、事実上空疎無用なものとして却けられ、又新しい時代精神を代表する自然科学者達から無視されたり嘲笑されたりさえしたことを茲に改めて述べる必要はないであろう。そして又それにも拘らずこの種の自然哲学が有つ優れた歴史的意味を吾々は充分に認識しなければならぬということも茲では省こう。ただ併しながら、少くとも浪漫的自然哲学はカントの批判的自然哲学と非常に異なっているものであるということは、先程吾々が述べて来た通りである。もしこの相違が末梢的なものであるならば恐らく前者は後者の正当なる発展であるであろう、之に反して、もしこの相違が中枢的なものであるならば、前者は後者の正当なる発展ではあり