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エマヌエル・カント『しぜんてつがくげんり』かいせつ

エマヌエル・カント『自然哲学原理』解説

戸坂 潤

「カント著作集 第一一巻」岩波書店、1929(昭和4)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,570 字 · 72 页

青空文庫

すると又人々は問うであろう、已にフィヒテの所謂形而上学は批判主義を通過しているのであるから、この発展として許されているシェリング、ヘーゲルのそれも批判を含んでいる筈である、故にその自然哲学も批判を含む、故にそれは批判から区別されたる意味での形而上学ではなくなるではないか、と。けれども一体批判以前の形而上学と批判以後の即ち之を含む形而上学とは一般に何によって区別されるのか。それは云うまでもなく客観に於て――物自体として――考えられるということと、主観に於て、主観の働きとして――構成として――考えられるということとの区別がそうするのではある。批判主義はある特定な意味に於ける主観化である。そして成程浪漫的形而上学一般はかかる主観化によって動機づけられているであろう。それはこの意味に於て批判を含んでいるであろう。けれどもかかる形而上学の最も特色とする転向はそれが、すでにも述べたように、客観を(特に自然を)如何にして主観化そうかという問題に際して、最初の主観化の動機を忘れて、却って如何にして主観をば客観化そうかという課題に逢着したことである。茲に事情は逆転し、批判主義の動機は失われて之に代ったものは正に批判とは区別された処の形而上学であった。