轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
チェーホフのたんぺんについて
カシタンカ・ねむい 他七篇
神西 清
神西清『カシタンカ・ねむい 他七篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:チェーホフの短篇に就いて、チェーホフ序説。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 46,418 字 · 92 页
――私も。――私も。……そこで話は俄然活気を帯びて、やがて頗る満足した婦人連は、そのうちおいしいマーマレードをお届けしましょうと約束して、いそいそと帰って行く。これはチェーホフ作るところのヴォードヴィルではない。ゴーリキイの回想に出てくる或る日のチェーホフの姿なのである。ところで餌は勿論マーマレードに限ったことはないはずだ。エジソン氏の蓄音器でもよし写真の話でもよし、あるいは病身な小学教師たちのための理想的な療養院の話でも、二百年三百年たった後の地上における素晴らしい生活の話でも、とにかく沈黙の代理をつとめてくれるような話題なら何でも構わない。現にこの婦人訪問客の逸話を伝えている当のゴーリキイにしろ、或いはブーニンにしろクープリンにしろ、おなじマーマレードを振舞われたことがなかったと誰に保証ができるだろうか。
だが、沈黙の代用品としての饒舌のすばらしい見本なら、勿論あの二千通をこす彼の手紙でなければならない。ドストイェーフスキイも手紙の大家だった。熱っぽい緊張と狂おしい感動とに貫かれたこの巨匠の手紙は、よしんば彼が事実を曲げ嘘をつきたいという情熱に駆られた瞬間にあってすら、その情熱の烈しさそのもののうちに紛れもなく彼の全人格を投射するという不思議な真実性と信憑性をもっている。