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カストリしゃじけん

カストリ社事件

坂口 安吾

「別冊オール読物」1948(昭和23)年9月20日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,043 字 · 21 页

青空文庫

たゞ、見とゞけて、後々の証人になってくれゝば、いゝんだ。そんなことのできるのは、ともかく、詩人の、君だけなんだ。君には、とにかく、芸術家の純一な正義と情熱があるんだ」

「ウーン、そうか。そう云われると、なんだか、やらなきゃ、悪いみたいじゃないか。困っちゃったよ。なんだか、変だな。オレは、然し、戦争のときも、兵隊で、特攻隊はキライだったし、あれは、いかんと思うよ。然し、花田氏が死ぬ、オレじゃア、ねえんだな。花田氏が死ぬ、見とゞけるのが、オレか。ついでにオレが殺されちゃア、つまらねえけど、花田氏死す、それをオレが見ている、面白えのかな。面白くなくちゃ、つまんねえけど、わからなくなっちゃった。じゃア、仕方がない。オレ、行くことにしようかな。心細くなっちゃったな」

と、二人は肩幅一メートル氏に案内されて、車組社長を訪ねて行った。

★

「私がフツツカで、双方の意志を通すことができませず、拝借の二十万円は、使い果してしまいました。すべて、私の責任ですから、社で切腹をと考えましたが、切腹しても、二十万円のカタがつくわけではありませんから、お詫びに参上致しました。