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ガラマサどん
ガラマサどん
佐々木 邦
「キング」1930(昭和5)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,079 字 · 202 页
君達は差詰めこの会社を背負って立つんだ」
「迚も/\」
と私達はそんな遠い将来のことは見込が立たない。
「君達の年輩が一番大切のところだ。若ければ諦めをつけているが、もう中年へ差しかゝっているのに先が全く閊えていると思うから痺れを切らす。我輩も然うだったよ。この会社へ入った頃は、いつも話す通り、月給十七円。四十年前で物価が安かったにしろ、君達よりも余っ程割が悪い」
「はあ」
「日本人社員中のドン底さ。その上に独逸人幹部が六七人威張っているんだから、迚も見越しがつかなかった。例のベッケルとの決闘なんかも実は破れかぶれさ」
「しかし幹部と決闘をしようってんですから、この頃の私達と違って、元気溌剌たるものがございましたな」
「時代が違う。一般に気が荒かった。下役を叱って晩に寝首を掻かれた役人があったくらいのものだ」
「はゝあ」
「それにドン尻なら何処へ行っても使って貰えると思うから恐れない。独逸人が手を引いて日本人の経営になってから、漸く君達ぐらいのところさ。中軸だけれど、上がギッシリ詰まっている。二年も三年も俸給が上らない。痺れが切れたよ」
「社長の御気象では如何にも然うでございましたろう」