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ガラマサどん
ガラマサどん
佐々木 邦
「キング」1930(昭和5)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,079 字 · 202 页
「何故?」
「僕まで鼻が高いんだ」
「ふうむ」
「君と懇意にしているものだから、皆それとなく敬意を表してくれる」
「そんなに豪くなったのかなあ、僕も」
「兎に角話と云えば君のことだ。君の経歴を僕のところへ訊きに来る奴さえある」
「宜しく宣伝してくれ給え」
「いや、僕は事実ありのまゝを正直に話している」
「それじゃ宣伝部にいる資格がないぞ」
「先刻も米沢君が熊野君は一体何新聞から来たんですかと訊いたから、新聞は三つ四つ前でしたろうと言って置いた」
「いけないね」
「新聞の次が雑誌だったのかい? 雑誌の次が新聞だったのかい?」
「新聞から雑誌、それから後は会社ばかりさ」
「それじゃその通りだ」
「方々で首になったことまで喋ったのかい?」
「うむ」
「よしてくれ」
と私もこれには恐れ入った。
「ところで何うだい? ガラマサどんの自叙伝は」
「一向目鼻がつかない。大将、義太夫ばかり語って聴かせる。昨夜は十二時さ」
「未だ一枚も書かないのかい?」
「材料がないから、手のつけようがない」
「しかし材料蒐集の為めに私宅へ伺うんだろう?」
「それは然うだけれど、大将、少し話すと直ぐに気が変って、『何うだい? 一段聴かせようか?』