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ガラマサどん

ガラマサどん

佐々木 邦

「キング」1930(昭和5)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,079 字 · 202 页

青空文庫

「でも余りトン/\拍子ね。夢のようですわ」

「何あに、今までがひど過ぎたんだ。元来ならもうこれぐらいになっているのが当り前だろう」

「当り前以上ですわ」

「少し以上かも知れない」

と私は無論異存がなかった。

その晩、妻は動もすると笑い出して、

「あなた、家庭は矢っ張りお金ね」

とツク/″\言った。

「或程度まで然うさ」

「いつもの年末とはまるで気分が違いますわ」

「これからは毎年この調子で行くんだ」

「お蔭さまね」

「矢っ張り何処か好いところのある男だろう?」

「えゝ。あなたはこの頃人品が上って参りましたよ」

「もう十把一からげの平社員じゃないからね」

「地位が好くなると、箔がつくのよ」

「男っ振りは何うだい?」

「上ってよ。私、それを言っているんですわ」

「有難いね。ハッハヽヽ」

と私も満足だった。外に信用があれば、家でも大切にされる。失業はするものでない。

翌日は日曜だった。

「あなた、今日は早速社長さんのお宅へ伺うんでございましょう?」

と妻が促すように訊いた。

「何故?」

「お礼を申上げなければいけませんわ」

「しかし今日は何とも沙汰がなかったから、何うしたものだろう?」

「お礼丈けに上っていらっしゃれば宜しいじゃございませんか? 序に申上げたんじゃ横着になりますよ」