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クリティシズムとにんしきろんとのかんけい

クリティシズムと認識論との関係

戸坂 潤

「学芸」1938(昭和13)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,091 字 · 50 页

青空文庫

三

組織的な方法がなくてはならぬ。機動的な批評原則がなくてはならぬ。そういう原則を特に精練するものが、哲学体系としてのクリティシズムと直接関係があり得ないというなら、それは少し妙なことだ。哲学体系的クリティシズムと普通の批評活動としてのクリティシズムとの連関は、寧ろクリティシズムの認識論的本質そのものの一部をなすだろう。そういう点を明らかにするためにも、以上の例は一つの類推の役目を果すだろう。だが吾々は何よりクリティシズムが含む諸要素を分析してかからなければならない。

三

一方に於て吾々は、クリティシズムを出来るだけ常識的なものと考えなければならない。人物や事物の善し悪しを論じる所謂批判・批評・品隲のようなものを除外するならば、クリティシズムは嗤うべきスコラ用語となる。日常語と哲学用語とで同じ言葉の意味が全く別な無関係なものになるとしたら、之ほど無意味な哲学方法はないだろう。と同時に、他方吾々は之を出来るだけ科学的=哲学的な言葉に仕上げなければならぬ。クリティシズムは平常の現象である、之を理論的に洗練することが科学的労作なのである。

さて日常現象としても理論的カテゴリーとしても、クリティシズムについてまず第一に気づく点は、それが言葉によって表現されるという周知の特色だ。