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クリティシズムとにんしきろんとのかんけい

クリティシズムと認識論との関係

戸坂 潤

「学芸」1938(昭和13)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,091 字 · 50 页

青空文庫

本当を云うと技術の秘密を凡ゆる方法を講じて分析することによって、初めてその技術の質の高低を見分けることも出来る筈で、それが最も高い意味での技術批評というものだ(高速度カメラは或る領域で最近そういう役割を果している)。――で、そうなると技術批評というものも、決して各領域の芸術に独特な孤立した秘伝にどこまでも接着しているものではいけないことになる。個々の芸術世界の秘義としての技術の特殊性を脱出して、之をより一般的な悟性領域の舞台にまで引き出すことこそが、技術批評なのだ。そうなると、従来の所謂技術批評という観念自身が相当根本から変えられねばならぬ。

だが、批評が所謂技術批評に限るということさえ、勿論一つの云い過ぎであった。技術=手法はそんなに孤立化されて取り出されていいものではなかった。技術や手法という方法は、それを産みそれを育て、またそれによって生長させられる処の所謂世界観と、関数関係にあったことを思い出さねばならぬ。勿論文化各領域の背景をなす夫々の世界観は同じものではない。夫々でなければ見出せない世界観だ。丁度一人々々の人間の世界観が、同時代人の同社会層の、而も同じ思想傾向の人々同志の間でも、一つでないと同じである。