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クリティシズムとにんしきろんとのかんけい

クリティシズムと認識論との関係

戸坂 潤

「学芸」1938(昭和13)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,091 字 · 50 页

青空文庫

その歴史的批評が実は哲学的乃至美学的批評であるというのだ。そして哲学は彼に於ては論理的なものだし、歴史的批評は正常ならば当然社会的批評をも意味するわけだから、つまり彼によれば、クリティシズムは芸術の歴史的従って又社会的契機と論理的契機との同一、という処に成り立つ。クローチェは批評の機能を最後に、芸術批評から「生活批評」にまで拡大するのだから、「芸術」の、と今云ったことは、「文化・思想・認識」の、と変えてもいいわけだ。――故にクリティシズムと認識論とが、たとい形式的にしても(何となればクローチェは決してさっき云ったような認識論の充実した意味を知ってはいないから)、全く同じ契機の構造物であることが、証明(?)された。

クリティシズムとは、結局の処、認識論的文化史、哲学的文明批評、その他その他と云っていいもので、「科学的批評」という言葉は、今まで見て来たようなクリティシズムの全機能を指していなくてはならないのである。科学的批評とは、正にこの認識論としてのクリティシズムの謂であり、或いは少なくとも、認識論的機能を営む筈のクリティシズムの謂である。科学的批評とは評価の計算器のことではなくて、文化媒介の認識論的組織あるものを云うのである。