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ケーテ・コルヴィッツのがぎょう
ケーテ・コルヴィッツの画業
宮本 百合子
「アトリエ」1941(昭和16)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,607 字 · 22 页
灯の下に集められた一つ一つの顔、大きいその肩、がんじょうなその手を、画家は、情景の核心にふれて、内部から描いている。明暗の技術も大胆で巧妙で、ケーテのリアリストとしての技術の高い峯が示されているのである。
興味あることは、この「織匠」にも、強靭なリアリズムの手法と並んで、クリンガーの影響と言われたケーテのシムボリズムがところどころに現れていることである。死の象徴として骸骨が「織匠」第二枚目にあらわれているばかりでなく、「死と女」その他後期の画面にも使われている。
ロシアでは有名な血の日曜日の行われた一九〇五年に、ケーテの描いた「鍬を牽く人」などの扱い方もシムボリックなところがあってどこかムンクを思わせる。そして、このケーテの内部に交流しているシムボリックな傾向が婦人画家としての彼女に、フライリヒラアツの詩やハウプトマンなどの文学作品から、モティーフを刺戟された題材の版画集を創造させた。しかも芸術作品として彼女のそれらの製作を傑出させているのは、ケーテの確かで深い現実観察からもたらされた写実的な手法である事実は、私たちに多く考えさせるものを持っている。