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ゴールデン・バットじけん

ゴールデン・バット事件

海野 十三

「新青年」1933(昭和8)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,946 字 · 46 页

青空文庫

――それでさっき僕のした質問の目的が解ったことだろうと思うが、或いは君が、その若い女を見かけやしなかったのかと考えたのだ」

「待ってくれ、そう云えば……」

とそこで私は、丘田医師の家で、腹たち紛れに観察した女靴の跡のことや、丘田医師のことについて報告した。

「もしや金の部屋に寝ていたらしい若い女というのは、丘田氏のところにあった靴跡の女ではないのかネ」

「それは独断すぎると思うネ。しかし丘田氏のところにいた女が、洋装をしていることが判ったのはいいことだ」

「しかし君の云う隣りの室に寝ていた若い女は、直接犯行に関係があるのかい」

「そこに実は迷っている」と帆村は煙草をスパスパ性急に吸った。「その女が犯人らしいところもあると思う。そいつは踏みつけられたゴールデン・バットから考える。女はあのベッドの上に、金と寝ていた位だ。だから靴は脱いでいたものと思う。僕には意味が解らないが、状況から云って女は兇行後、あのバットを箱から出して撒いたのだ。だから注意をしてバットを踏まずに外に出ることができた。そのあとで短刀をもった男が闖入したが、バットが滾れていることには気付かないもんだから、踏みつけてしまったものと考えられる」