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ジイドとそのソヴェトりょこうき
ジイドとそのソヴェト旅行記
宮本 百合子
「文芸春秋」1937(昭和12)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,615 字 · 19 页
彼らしく、「狭き門」の作者らしく、ジイドは、ゴーリキイやダビや、オストロフスキー、その他新社会の建設の中に生命を捧げた人々への無限の愛を表すために、自身のソヴェト旅行記をますます「いつもよしとして称讚したいものにたいして、最も厳格である」という自分の精神に従って「何らの表裏も手加減もなく真情を傾けてソヴェトを語り」そのことによってソヴェトにより多く貢献し、更に「ソヴェトよりもっと重大な」人類の運命と文化とのために貢献しようと決心したように見えるのである。
序言で、ジイドはギリシアの神話までを引用して、姑息な愛の恐るべき害悪を語っている。これまでソヴェトを旅行したものが、多くの場合それぞれの既成の見解に動かされて、ソヴェトの真相を憎悪の念をもっていうか、愛情をもって虚偽を伝えるかする傾向が強かった。ジイドは、自分の立場を確然とこれらの一群と対置しようとした。ソヴェトの偉業にたいする讚歎の情があればこそ、ソヴェトが彼に希望することを許したものがあればこそ強まる彼の批評精神によって「ソヴェトによって実現された事業は十中の八九まで実に称讚に価する」のであるが、のこる十分の一に示されていると彼が感じた「重大な誤謬」