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ディズニーのひととさくひん
ディズニーの人と作品
中谷 宇吉郎
「週刊朝日」1955(昭和30)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,273 字 · 13 页
二 芸術の企業化
しかしディズニーには、とくにこの傾向が著しく、日常身辺の器物、煙草でも、コーヒー茶碗でも、鉛筆でも、すべてのものが、ときどき彼に話しかける。ちょうどどんぐりや、名もない草の赤い実が、宮沢賢治に話しかけたように。そういう意味で、シカゴで育った宮沢賢治とでもいったら、彼の人となりの一面が、よく表現されるであろう。ディズニーは、シカゴで高等学校の課程をおえ、そのあいだ夜学に通って、好きな絵の勉強をした人である。
しかしディズニーの偉大さは、こういう詩人としての性格だけにあるのではない。それと一見矛盾する性格、すなわち企業家としての優れた才能を、あわせて持っている点にある。ハリウッドのディズニー・プロダクションは、病院のように清潔で、精密機械工場の内部のように、よく整頓されている。漫画の原画を描く絵描きさんだけでも、数百人を超え、全世界の各地へ派遣されている百名に近いカメラマンからは、ぞくぞくと撮影済みのネガが送られてくる。こういった巨大な組織と人とが、彼の頭脳を通して渾然と融合し、一つの有機体として生きているのである。
二 芸術の企業化
『白雪姫』や『ピーター・パン』