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ナンセンス
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夢野 久作
「猟奇 第二巻第八号」1929(昭和4)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,843 字 · 4 页
私には「探偵趣味」という意味がハッキリとわからない。同時に「猟奇趣味」という言葉も甚だアイマイなように感じている。しかもその癖に、そんな趣味の小説や絵画はナカナカ好きな方で、つまらないと思う作品にまでもツイ引きつけられて行く。自分でも可笑しいと思っているが仕方がない。
イッタイどうしてこんなに矛盾した心理現象が起るのだろう。
そうした趣味の定義や範囲は、雲を掴むように漠然としているように、そうした趣味から受ける興味はどこまでも深刻痛切を極めている。それ等の作品の一つ一つの焦点は実にハッキリしている。脳味噌の中心にヒリヒリと焦げ付く位である。それでいて、あとから考えるとその興味の焦点と、自分の心理の結ばり工合がサッパリわからない。探偵趣味で惹き付けられたのか、猟奇趣味で読まされたのか、わからない場合が非常に多い。わかってもその「探偵」とか「猟奇」とかいう趣味の定義は依然として五里霧中だからおかしい――どうもおかしい――。
子供の時に、自分の家へ郵便が投げ込まれるのを遠くから見て飛んで帰った事がある。別に手紙が見たいわけではなかったけど、どこから来た手紙か知りたかったからである。