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ニューフェイス
ニューフェイス
「小説と読物 第三巻第七号」桜菊書院、1948(昭和23)年7月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,479 字 · 25 页
この人は天分がなかった。当人も自信がないんですよ。それで、なんです。色仕掛で仕事を運ぼうと企んだわけですが、これこそすでに陳腐です。あの御身分の方々ともなると、色仕掛でスタアを狙うヤツ、これぐらいどこにもこゝにもあるという鼻についたシロモノはないんですよ。食傷して、ウンザリしきっているのです。ですから、真実天分ある者は、率直に天分をヒレキすれば足るのです。むしろ御機嫌などとらない方がよろしいです。ですから、御三方が現れたら、サービスなどほったらかして、何くわぬ顔、唄をうたいなさい。例のソプラノです。変にニコヤカな素振など見せると、いかにも物欲しそうにとられますから、できるだけムッツリと、仏頂ヅラを見せておいて、然し、たくまぬ自然のていで、天分のある限りを御披露あそばすことです」
オーさん、ヤアさん、ツウさんという三人は言うまでもなく表向き名乗っているだけの人間で、芸界などには無関係な人たちであった。あべこべに、見たところ、ちょッと新しい教養もなきにしもあらずと見える紳士然たる風采であるが、およそ旧式の趣味をもち、アアアヽブルブルというソプラノほど骨身に徹してキライなものはないという名題の国粋グループであった。