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ニューフェイス

ニューフェイス

坂口 安吾

「小説と読物 第三巻第七号」桜菊書院、1948(昭和23)年7月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,479 字 · 25 页

青空文庫

化けものでなきゃ使ってやるから連れてこい」

「一目見て目をまわすなよ。この町内じゃア男のニューフェースといえば誰の目にもワタシと相場がきまっているが、女の方じゃア、花柳地の姐さんをひっくるめても、ニューフェースはこの人だ。趣味もよく、学もある人だから、丁重にしな」

と、ソプラノ嬢をひきわたした。

★

その晩の九時がきて、例の御三方が現れた。

御三方はこの店の飛びきり大切のオトクイである。だから、前もって常連について予備知識を与えて、

「いゝかい。その常連の中でも、毎晩必ず九時に現れる三人の人、オーさん、ヤアさん、ツウさん、この三人が超特別のお客なんだよ。そのうちのヤアさんは頭のハゲを気にしているから、まちがってもハゲの話をしちゃいけないぜ。オーさんは酔っ払うと清元の三千歳を語る癖があるんだが、その時は渋いですネ、と云わなきゃならない。水商売は本当のことを言っちゃならないものなんだが、当節の芸者はいっぱし批評家づらアしてお客をやりこめて、しくじりやがる。ワタシたち相撲の方が、客あつかいの礼儀というものを心得ていたものだ。ツウさんは腸が悪いから五分に一発ぐらいずつ大きな屁をたれる。