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バルザックにたいするひょうか
バルザックに対する評価
宮本 百合子
「文学古典の再認識」芸術遺産研究会編、現代文化社、1935(昭和10)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,904 字 · 62 页
エンゲルスがマーガレット・ハークネスに送った手紙に「作者の見解如何にかかわらず」「政治的には正統王朝派で」あったにかかわらず、バルザックが「真の未来の担い手たちを見てとったこと」、それを「リアリズムの最大の勝利の一つであ」る、そしてバルザックこそ偉大なリアリスト芸術家であるとしていることは、誤りでない。しかしながら、歴史上権威ある人々の書簡には或る場合註釈が必要とされるように、現段階にたってエンゲルスのこの書簡が読まれるについては矢張り幾つかの短い脚註の必要がさけ難いと思われる。
例えばエンゲルスは、この手紙において、バルザックが「真の未来の担い手を見てとったこと」までにしか触れていないのであるが、今日の世界の到達点に生活する我々の実践的な要求にとってはそれから先きのこと、即ち、バルザックが自身の力で見てとった真の未来の担い手に向って如何に結合して行ったかという、その現実の過程に迄立ち入って学ばなければならない。『マルクス・エンゲルスの芸術論』(岩波版)においてエフ・シルレルは精密な解註を附している。シルレルは、バルザックの芸術についてエンゲルスの言ったリアリズムとは、「資本主義的発展の内在的矛盾を――それが一般にブルジョア的創作方法に可能である限りにおいて、というのは、ブルジョア的リアリズムは究極において