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パァル・バックのさくふうそのた

パァル・バックの作風その他

宮本 百合子

「婦人文芸」1937(昭和12)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,395 字 · 9 页

青空文庫

辛うじて、自分をも見る目の意味であるというような短かい言葉を註した。場所がら、非人情という私の意味は人情を否定するのでなく、その人情の曲折を描くに、人情の埒内で暖まらず、そのとことんの現実にまで触れて行こうとするには、その人情なるものをも社会的な広さから作家として把握し得なければならないという気持であるというこまごましい説明は出来なかった。

二月号の『婦人文芸』を開いたら平林たい子さんの「日記断章」という文章があり、その中で私の云った非人情という言葉がとりあげられている。平林さんは作家として、人情と芸術とが一致する境地というものを求めておられる。「文学が永久に人情と背馳すべきものだという運命を負っている筈はないと思って」と。

平林さんは隠微な表現で書いておられるが、平林さんのような作家にでも、非人情という云い表わしは、人情と背馳するだけのものとして理解されるということに、私は反省も促されたし芸術上の興味も動かされた。

人情というものの内容やその理解、文学との連関は複雑な問題であり、特に現代の日本の作家は、周密にこれをとりあげ、見直さなければならないと思う。