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パーティものがたり
パーティ物語
中谷 宇吉郎
「オール読物」1955(昭和30)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,735 字 · 22 页
といっても、奥さん方は、何も眼に角を立てる必要はない。たいていの場合こういうサービスというのは、話術でもって、果敢ないサラリーマンの救いのない生活に、ひと時の灯をともしてくれるだけの話である。
こういうふうに考えてみると、どうもアメリカの御夫人たちの方が、大分利口なようである。バーの女給たちや芸者諸君のことを、とやかくいうよりも、自分でそれにとってかわるわけであるから、なかなか頭のいいものである。もっとも自分一人では、マンネリズムに陥るので、同性の友だちを狩り集めて、相互扶助をやっているわけである。
もっともそれには座敷着が相当たくさん必要である。中流家庭のややいいところ、即ち女房を家で遊ばせておける階級では、たいていクローセットに、四、五十着のドレスがぶら下がっている。ドレスといっても、夜会服やスーツだけを指すわけではなく、日本では普通にいう余所行きという意味である。それでも大した金目になるが、これ等は長い間に溜めたものである。流行はもちろんあるが、アメリカの中産階級は案外健全で、自分に似合う色や型を選んで、服飾に個性をもつ人が多いので、日本の銀座人種ほど、流行に追い立てられていないようである。