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プロレタリアぶんがくにおけるこくさいてきしゅだいについて
プロレタリア文学における国際的主題について
宮本 百合子
「読売新聞」1931(昭和6)年10月16、17、20~22日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,199 字 · 15 页
が、階級として搾取者に対した時、プロレタリア・農民にとっては黒坊も白坊もない。世界のプロレタリアート・農民として、ただ一本の国境を地球の上に持つだけだ。世界のブルジョア・地主と自分たちとの境に。
解放運動のそういう国際情勢につれてプロレタリア文学は発展して来た。だから、よしんば個々の作品が、直接には亀戸の小さい紡績工場で闘争する女工だけを描いているとする、または九州の炭坑罷業を描いているとしても、その主題がはっきり資本主義第三期の世界経済恐慌との内国的関係において、プロレタリア・農民の政治的攻勢の展望のもとに把握、表現されていれば、基本的な解釈においては十分国際的な作品といえる。
具体的にいい直せばこうである。例えば信州の山奥で繭安価のために貧窮し、組合の組織を求めるようになった一農夫を描くとする。われわれプロレタリア作家の眼が、ただその局部的現象だけを捕えたのでは足りない。言葉としてその小説の中に書かれないにしろ、プロレタリア作家は信州の繭安価を日本全体の繭安価の理由と結果とに、引きつづいて世界の農村恐慌へまできっちり結びつけ、その関係において主題を理解しなければならないということだ。