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プロレタリアぶんがくのそんざい
プロレタリア文学の存在
宮本 百合子
「文化タイムズ」1947(昭和22)年12月1日号
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 1,541 字 · 4 页
プロレタリア文学運動の業績が正しく評価、伝承されなければならないという声が昨今漸くあちこちにきこえて来た。このことは、民主主義が、階級間の平均化ではないということを、日本の人民が激しい二年間の経験によって理解しはじめたことを意味する。
わたしが六〇―一頁、六五―六頁にふれている点は、なぜ運動の当初プロレタリア文学だけを押し出したか(有島武郎の死前後)ということをしらべたかったからであった。
プロレタリア文学が存在しなかったというどころか、逆に何故プロレタリア文学のほかの進歩的文学が過小評価されなければならなかったかということをさぐりたかったからであった。私の書いているその評論の全主旨はプロレタリア文学の存在否定でない。
一篇の評論はその全文を、一冊の本はその全頁を通して読まれ理解されるのが自然だと思う。プロレタリア文学の伝承を忌避したがる一部の人々があるが今日力をつくして拒否すべきものは、文学運動までをああいう目にあわせた兇暴な治安維持法の変形した再登場である。わたしたちが人間として自然にもつ恐怖を主張し、その原因たる悪権力を克服しようとするならば、私たちは何よりも人民的な民主勢力の発展とその推進の力たる労働者階級の意識を肯定しなければならない。