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ベルリンだいがく
ベルリン大学
寺田 寅彦
「輻射 第一号」東京帝国大学理学部学生、1935(昭和10)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,073 字 · 14 页
せながら聴衆の中に交じっている日本留学生の自分の顔を見てにこにこした。後年欧洲大戦の結果として青島がドイツの手を離れたときに何となくその時の講義が思い出された。
海洋博物館の前を西へ高架線に沿うて行くと停車場の前をぬけてスプレーの河岸へ出る。河岸に沿うて二、三町先のマルシャル橋の南詰の角に物理教室がある。ここで聴いたキービッツという若いプリバート・ドチェントの空中電気の講義は始め十人くらいの聴講者がだんだん減ってとうとう二、三人になってしまった、そのせいか数時間でおしまいになった。物理学輪講会はルーベンスが座長であったがプランクもほとんどいつも欠かさず出席してこの集会の光彩を添えていた。老人株ではカナル線の発見者ゴールトシュタインや、ワールブルヒなどがおり、若手ではゲールケ、プリングスハイム、ポールなどもいた。日本人では自分の外に九州大学の桑木さんもある期間出席されたように思う。
鼻眼鏡でぬうっと澄ましていて、そうして何でも実によく知っているルーベンスの傍に、無邪気で気軽く明るいプランクがいて、よくわれわれでも知っているような実験的の事実を知らないで質問する、若い連中が得意になってそれを説明するのを感心して謹聴していた。