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ホオムズのたんていほう
ホオムズの探偵法
平林 初之輔
「新青年 第七巻第三号新春増刊号・探偵小説傑作集」1926(大正15)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,080 字 · 7 页
なども、この公式の適用された例であって、真理を知るためにまず真理でないものを除去して、捜査の範囲を狭くするということは、あらゆる探偵の実際に行っているところである。名探偵ホームズがこの平凡な真理をマキシム〔信条〕として遵奉しているのはゆえあるかなといえる。
ある事件に当面すると彼は小獣を見つけた虎のように緊張する。この緊張裡に彼の微細な推理力は醗酵するらしい。ワトソンが早目に「どうだね、わかったかね?」というような質問をする。すると彼は答える。“I can not make bricks without clay”(粘土がなくちゃ煉瓦は造れないよ)材料がなくては見当がつかぬという意味だ。これまた味わうべき言である。下手な探偵は粘土なしに張り子の煉瓦をこしらえがちである。そういう軽率なことは彼はしない。
次に彼はある事件に対して、可能な説明を残らず思い浮かべる。時とすると、それは七つも八つもある。その中でどれが真理かは、はじめは自分にもわからぬが、その後のインフォメーションが付加されるたびに、例の除去法を用いて次々に不可能なものが除去されて、最後に真理をつきとめるのである。