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マクシム・ゴーリキイによってえがかれたふじん
マクシム・ゴーリキイによって描かれた婦人
宮本 百合子
「文学評論」1936(昭和11)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,801 字 · 20 页
それから五年目で一九二八年、ゴーリキイが再びソヴェト同盟に帰って来るというのである。いろいろの点からこの出来事は世界の視聴を集めた。ソヴェト同盟の大衆は、イタリーにいた五年の間にゴーリキイが、故国で行われている新しい建設に対して絶間ない注意を払い、その文筆活動を通してソヴェト同盟の建設の意味を世界に向って語っていたことを知ってはいる。しかし、彼等が必死の努力で日々を過した五年、その五年をゴーリキイはイタリーにいたということは、イタリーという土地が伝統的にわれわれの心に反映させる一種の遊園地めいた先入感の関係もあって、何だかゴーリキイに対して、うちのものではあるが久しく会わない中に、この新しく変ったうちを、帰って来てどう見るであろうかというような気分が一般にある期待と好奇心とを呼び起した。
この期待と好奇心とは、資本主義国の古い感情にも違った内容をとって現れた。ゴーリキイは偉大な芸術家である、レーニンをも恐れなかった、だからレーニンは正直なゴーリキイの声を恐れてイタリーへやったのであった。そう考えている彼等は、今度ゴーリキイがソヴェトへ帰って何を見るか、そして何を云うか、終局に自分自身をどう処置するか、ということを貪慾な目つきで見守っていた。