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マルおよびムレについて
マル及ムレについて
木暮 理太郎
「霧の旅」1937(昭和12)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,258 字 · 30 页
のである。
然し甲斐の国に残されたる「古風土記」の唯一の逸文(後に出す)に拠れば、明に鶴郡となっているのであるから、後人が嘉名の鶴の字に代えたのではなく、和銅以前から既に鶴の字が用いられていたのである、それが「風土記」を編纂する際に
畿内七道諸国郡郷名着二好字一。
又は
凡諸国部内(式の民部をいう)郡里等名並用二二字一、必取二嘉名一。
とある令に従って二字を用いる必要上、都留を好字として之を採用することになったのであろう。さすれば「古風土記」の編纂者は、当然都留の二字を用いなければならない筈であるのに、依然として鶴郡とあるのは、恐らく朝命によるものであるとはいえ、「風土記」は性質上後世の書上げに似たものであるから、従来の慣習のままに鶴の字を使用したものらしい。それで詠歌の場合などには、後世迄常に鶴の意に用いられていたので、嘉名の鶴の字が蔓葛に代用されたもののように『甲斐国志』の編者は信じたものと想われる。其等の歌は『夫木集』や『甲斐国志』に載っている。其中の一首で『夫木集』にある権大納言長家の
中宮御歌合翫レ菊といふことを
雲の上にきくほり植てかひのくに