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マーカス・ショーとレビューしききょういく
マーカス・ショーとレビュー式教育
寺田 寅彦
「中央公論」1934(昭和9)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,879 字 · 18 页
つまり人間の体内に耆婆扁鵲以上の名医が居て、それが場合に応じて極めて微妙な調剤を行って好果を収めるらしいというのである。「それじゃ結局昔の草根木皮を調合した万病の薬が一番合理的ではないか」と聞いたら「まあ、そんなものだね」という返事であった。自分に必要なものを選択して摂取し、不用なもの有害なものを拒否し排出するのが、人間のみならずあらゆる生物の本性だということは二千年前のストア哲学者が既に宣言していることである。生物が無生物とちがうのもこの点においてである。
これも近頃聞いた話であるが、稲の生長を助けるアゾトバクテルという黴菌がある。また同じような作用をする原生動物がある。ところが最近の日本の学者の研究によると、この二つのものを別々でなく同時に作用させると両方の作用が単に加算的でなくてそれ以上に有効だということである。云わば一と一とで二以上になるというのである。お互いにセンシタイズするような作用をするらしい。
人間が知識を摂取する場合でもよく似たことがある。自分に最も必要な知識は頭にしみやすく、あまり役に立たぬようなものは一度呑込んでもすぐに排出し忘れてしまう傾向がある。