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ルルとミミ
ルルとミミ
とだ けん
「九州日報」1926(大正15)年3~4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,628 字 · 24 页
御殿の屋根は薔薇色に、または真珠色に輝きながら、水の底の方へ小さく小さくなってゆきました。宝石をちりばめたような海月の足の下へ……。
「ネエ、ルル兄さま!」
「ナアニ……ミミ」
「女王様は何だかお母様のようじゃなかって」
「ああ、僕もそう思ったよ」
「あたし、何だかおわかれするのが悲しかったわ」
「ああ、僕もミミと二人きりで湖の底にいたいような気もちがしたよ」
こんなことを二人は話し合いました。そうして二人は抱き合って、海月の足の下をのぞきながら、何遍も何遍も女王様のいらっしゃる方へ「左様なら」を送りました。
ルルとミミが湖のおもてに浮き上ったところには、美しい一艘の船が用意してありました。その上にルルとミミは乗りうつりました。
「海月よ。ありがとうよ。ルルとミミが心から御礼を云っていたと、女王様に申し上げておくれ」
海月はやはりだまって、ユラユラと水の底に沈んで行きました。兄妹は舷につかまって、その海月の薄青い光りが、水の底深く深く、とうとう見えなくなってしまうまで見送っておりました。
お月様は今、西に沈みかけていました。かすかに吹き出した暁の風が、二人の船を陸の方へ吹き送りはじめました。