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ルルとミミ
ルルとミミ
とだ けん
「九州日報」1926(大正15)年3~4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,628 字 · 24 页
村の人が心配していた悲しいことが、とうとう来たのです。ミミは一人ポッチになってしまったのです。
けれども、ミミはどうしてあの優しい兄さんのルルに別れることが出来ましょう。
村の人がどんなに親切に慰めても、ミミは只だ泣いてばかりいました。そうして朝から晩まで湖のふちへ来て、死んだ兄さんがもしや浮き上りはしまいかと思って、ボンヤリ草の上に座っておりました。
――可哀そうなミミ。
ルルが湖に沈んでから何日目かの晩に、湖の向うからまん丸いお月様がソロソロと昇って来ました。ミミはその光に照らされた湖の上をながめながら、うちへ帰るのも忘れて坐わっておりました。
湖のまわりに数限りなく咲いている睡蓮の花も、その夜はいつものように睡らずに、ミミの姿と一所に、開いた花の影を水の上に浮かしておりました。
お月様はだんだん高くあがって来ました。それと一所に睡蓮の花には涙のような露が一パイにこぼれかかりました。
ミミは睡蓮の花が自分のために泣いてくれるのだと思いまして、一所に涙を流しながらお礼を云いました。
「睡蓮さん。あなた達は、私がなぜ泣いているか、よく御存じですわね」