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せんきゅうひゃくにじゅうさんねんふゆ

一九二三年冬

宮本 百合子

「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,654 字 · 14 页

青空文庫

「まあ! 珍しいのね、どうして」ふっとオートミールのことを思い出し、ふざけ半分にきく

「買っていらしったもの、当てて見ましょうか」

靴をぬぎつつ

「うむ、何だと思う?」

少し余裕をおき

「オートミールでしょう?」

「当った。形でわかるね」

「買って来て下さればいいと思って居たのよ。」

以心伝心でうれしいような、不気味なような心持。

その次にも、又次にもそんなことがあり、終に或日、何かでけんかをし、相手を死ぬと云うように思う。考え乍ら、或ことが閃き、フと妻が顔をあげて夫を見る。夫の顔の暗さ。妻、獣のような眼の光で

「同じこと? 考えて居らっしゃるのは。――私の考えて居るのと」

夫、烈しく

「馬鹿!」

静かな夜、戸外を走る自動車の音。

○まつとケットウ

まつ、女中が辛棒しきれず、べっとうと結婚する。すぐいやになったが、ケットウが惜しくてわかれられない、と云う。

ケットで代弁させて居る未練。

×本野子爵夫人のくれた陶器

父、母と本野子爵に呼ばれた。

父、あの調子ではしゃぎ mantelpiece の上のオランダをほめる。(まがいと知っては居たが)

子爵夫人、夫をすすめ、建築の少ない礼の足しにそれをよこし、父、母に叱られる。