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ひとつぼかん

一坪館

海野 十三

未詳

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,902 字 · 56 页

青空文庫

もっと復興一番のりらしい品物を売りたいと思った。

「なにを並べて売ったらいいかなあ」

源一は腕ぐみをして、一坪のまわりをぐるぐる歩きまわった。と、一つの考えがうかびあがった。

(そうだ。誰か人が通りかかったら、その人をよびとめて、相談してみよう)

いくら焼けあとでも、ここは銀座通りだから、そのうちにきっと誰か通るにちがいない。銀座はどんなになったと、心配してみにくる人が、きっとあることだろう。その人をよびとめればいいんだ。

源一はあたりを見渡した。まだ朝の七時であったが、人影はさらに見えない。みんな銀座を忘れてしまったのかなあ。

水筒の水をすこしのんでから、源一は腰をかがめて、焼けあとの一坪を整理にかかった。石ころと灰と分け、そして元の固い地面を出すつもりだった。そんなことをしているうちに、誰かそこの通りを通りかかるだろう。

源一は、一生けんめい仕事をつづけた。それは骨の折れる仕事だった。しかしおもしろくもあった。焼けあとからは石ころと灰だけではなく、針金やせとものや、いろんなものが出てくる。

「おうい、坊や」

源一はとつぜん誰かによびかけられた。

さしこの老人