轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

いっぽんのはな

一本の花

宮本 百合子

「改造」1927(昭和2)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,709 字 · 55 页

青空文庫

朝子にとっても、ぼんやり幸子の従兄として見ていた大平が、一人の男としてはっきり現われた点は同じであった。けれども、細かく心持を追ってゆくと、朝子にとって魅力あるのは大平という人自身ではなかった。大平があの夜以来、朝子の心の内にかき立てた感覚が、朝子を牽っぱるのであった。

その意識は、桃畑の前の小さな家で、静かに幸子と話したりめいめいがめいめいの仕事をもちよって一つ灯の許にいる夜など、特に明瞭に朝子の心に迫った。

朝子は、幸子を愛していた。彼女は幸子のどんな些細な癖も知っていたし、欠点も、美しき善良さをも知っていた。幸子が癇癪を起し、またそれが時々起るのであったが、とても怖い顔をして朝子に食ってかかる。そのときの、世にも見っともない幸子の顔付を思い出してさえ、朝子は滑稽と幸福とを感じ、腹から笑うことが出来た。

大平について、自分はそのような、何を抱いているだろう!

朝子は、自分の感情に愕きつつ考えるのであった。幸子といて、互に扶けつつ生活を運んで行くことに、朝子は真実の不平や否定の理由を心のどこにも持っていなかった。

それだのに、その熱い力は異様に牽きつける。