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いっぽんのぎんのはり
一本の銀の針
小川 未明
「少年倶楽部」1927(昭和2)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,687 字 · 10 页
二
「じゃ、忘れずに持ってきてあげるから、おまえもおじいさんに、僕の望みをかなえてもらうように頼んでおくれ。」と、兄はいいました。
妹は、承知して、兄がおじいさんに頼んだときに、自分もいっしょになって願ったのであります。
おじいさんは、すぐにはうんとはいいませんでした。
「おじいさんを、みんなが海の王さまといっていたということを聞きました。どうか、僕を、第二の海の王さまにさしてください。」と、兄はいいました。
「おまえが、その決心をしてくれるのはうれしいが、またあらしにあって船がこわれたら、とりかえしのつかないことになってしまう。」と、おじいさんは、思案をしました。しかし、ついに、孫たちのいうことを許してやりました。
二
おじいさんは、孫がいよいよ船出をするというので、夜もおそくまで起きていて、船に張る帆を縫っていました。どんな強い風に当たっても裂けぬように、またどんなに雨や波にぬらされても、破れぬようにと、念に念をいれて造っていました。
妹は、兄さんといっしょになって、船出の許しをおじいさんに頼んだものの、兄の身の上が案じられてしかたがありませんでした。