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いっぴょうのきょうくん

一票の教訓

宮本 百合子

「婦人公論」1946(昭和21)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,876 字 · 12 页

青空文庫

婦人代議士がどっさり出たことも、婦人有権者の数の大きさから見て、そう不自然なことではないのかもしれない。しかし、この現象について飾りなく私たちの感想を求められたら、今、日本の婦人たちは、果して何と答えるであろうか。生活の現実は、これらの婦人代議士が、初めての政治経験において「女のことは女の手で」解決するには余りに重大な社会情勢であることを直感しはじめているのではないだろうか。

諸新聞には、三土内相その他政党首領たちの言葉として、制限連記制が不適当な方法であったことを強調された。婦人代議士のどっさり出たことも、この不適当な選挙方法の欠陥のあらわれのように語られた。市川房枝女史も、今の日本に三十九名もの婦人代議士の出たことはよろこぶべきよりも、寧ろ一般有権者の政治的水準の低さという点で反省、警戒されなければならないことと注意した。それにつれて、婦人参政の先輩諸国の経験が示された。一九一八年に婦人参政権が認められたイギリスでは、その年一七名立候補して当選者なく、一九二三年に八名、一九二四年に六名、一九三一年には、代議士六一五名中、婦人は一五人という数を示している。