轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
みっつのかぎ
三つのかぎ
小川 未明
「赤い鳥」1925(大正14)年12月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,988 字 · 11 页
それから後のことです。学者はなにかの記録から、偶然つぎのような事柄を見いだしたのであります。
――殿さまの一人娘であった姫さまは、またとないほどの美人であったけれど、三人まで願いをかけた婿君が、一人も見いだされなかったことを恥じて、この山に上られ、一生を尼になって暮らし給われた――。
この記録は、高い山の上にあった、廃寺の中から発見されたのでした。
学者は、いつか三人の男たちが、幾百年の後になって、しかもうちそろって、かぎを持ちながら自分を訪ねてきたことを思い出しました。そして、姫さまというのは、まさしく、あの博物館に収められてある黄金の箱の持ち主であり、祈願をかけたというのは、あの中にはいっていた紙に認められていた文字であろうと知ったのであります。
学者は、その高い山へ、ある年の夏のこと、わざわざ登りました。白い雲が、いただきをかすめて飛んでゆきました。壊れかかった寺には、いまはだれも人の住んでいるようすもなかった。学者は、しばらくたたずんで、昔、この寺に美しい尼さんが、夜々空を仰いで、月の光に、雲の姿に、物思いに沈んだ姿を想像したのであります。