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さんじゅうねんごのせかい
三十年後の世界
海野 十三
「少年読売」1948(昭和23)年3~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页
それは正吉にとって、めずらしい風景だった。
巨木が重なりあって生えている。池のふちには、きみょうな形の葉がはえしげっている。水はどんよりと赤い。その水の中に、何か泳いでいる。小さな魚のようでもあり、そうでなく両棲類か爬虫頚のようでもある。それがモの下から出たりはいったりしている。
「おやッ」
正吉は、とつぜん声をあげた。彼はあやしい大きな魚を見つけたのである。大きさは正吉ぐらいある魚が、大きな頭を他の中からぬっともたげたのである。二つのぎょろぎょろ目玉。ほっそりした肩には、うろこが光っていた。肩のそばに左右に生えているヒレをぶるぶるとふるわせると、大きな口をあいて、正吉の方をにらんだ。口の中は、まっ赤であった。
こんどは正吉の方がぶるぶるッとふるえて、その場に立ちすくんだ。いったいその奇魚はなんであったろうか。
にらむ怪魚
正吉のおどろきの声に、こんどはキンちゃんがおどろいてうしろの林の中からかけつけた。
「どうしたい、ちびだんな」
「しいッ」
正吉は、キンちゃんにさわぐなと知らせた。
「ええッ。気味のわるいことだ」
と、キンちゃんは、どろ棒ネコのように腰を低くし、草むらを分けてそろそろと正吉の方へ近づいた。